メガマウスザメ

メガマウスザメ

メガマウスザメとは

メガマウスザメは、ネズミザメ目メガマウスザメ科に属するサメです。

日本での呼び名は英名のMegamouth Shark(メガマウス・シャーク)をそのまま使っています。「大きな口のサメ」という名のとおり、非常に大きな口を備えたサメ。

メガマウスザメ

メガマウスザメはまだ発見例が少ない希少種

メガマウスザメは非常に珍しく、世界でも50件程度しか発見例がない貴重な種です。日本では比較的発見例が多く14件程度が報告されています。

日本での発見報告が多いということは日本近海に多く住んでいるのでは、と思いがちですが、これは発見時の報告が確実にされているかどうかの違いだと考えられます。発展途上国の漁村などでは珍しい種の魚が獲れても、とくに報告もなく現地で食べられてしまうことが多いので。うーん、なんとももったいない話です。

メガマウスザメの身体的特徴

なんせ確認されている個体が少ないので大きさの分布は正確さに欠けますが、大人の個体であれば、全長はだいたい4~7mであると言われています。これはホオジロザメとほぼ同等の大きさです。しかしその体には脂肪のような柔らかい部分が多く、筋肉質なホオジロザメと比べると体重は軽くなるようです。

最大の特徴は非常に大きな頭部。名称はメガマウスザメではなく、どちらかというとメガヘッドのほうが適しているのではないかと思うほど大きいです。その形はサメには珍しく丸みを帯びていて、口を開くとクジラのようにアゴが全面に伸びるようになっています。この柔軟性の高い大きな口の動きによって餌を体内に取り込んでいるわけです。

ただし食べるのはジンベエザメやウバザメと同じくプランクトンや小魚のみ。海水とともにそれらを吸い込み、ろ過してエラから余分な海水を排出しています。

歯は非常に小さく鋭いものが無数に並んでいて、ヤスリに近い形状をしています。しかし基本的には食事は吸い込むように食べることがほとんどなので、その歯の使い道は解明されていません。メガマウスザメも何かに咬みつくようなことがあるのでしょうか。

そして他のサメにはない特徴として、唇にあたる部分の白銀色があります。この部分をぼんやりと発光させることによって深海でプランクトンを集めているのではないかと言われていますが、残念ながらまだ確かなことは確認されていません。

メガマウスの身体的特徴

一般的なサメのイメージのひとつとして、水面を割りながら走る大きな背ビレがありますが、メガマウスザメの背ビレは第一背ビレ、第二背ビレともに非常に小さいです。逆に胸ビレや尾ビレは非常に大きくなっています。このあたりは比較的クジラに似た特徴を備えています。

メガマウスザメの生態

2018年現在でもその生態はほとんど解明されていません。

まず生息域ですが、熱帯から温帯の深海に生息していることはわかっています。熱帯でしか小型の個体が発見されないことから、子供は熱帯域で産み出されて生育するまでは温かい海で過ごすのではないかと考えられます。また日本で発見される個体はメスの割合が非常に高いということも、何かの生態を示しているのかもしれません。

また1990年に捕獲して発信機をつけて放流したときのデータによると、昼間は120~160mの深さにいて、夜になると12~25mまで浮上していたそうです。浮上してくる目的は海面近くの豊富なプランクトンだと推測されています。ちなみにこのときの泳ぐ速度は時速1~2km程度と非常に遅いものでした。

そのほか、寿命、繁殖方法などは一切不明です。天敵なども不明。巨体であることと、基本は深海性であることから敵は少なそうですが、なにせ動きが非常に緩慢です。シャチやダイオウイカなんかに出会ってしまったらただでは済まないような気が。

深海でマッコウクジラに追われているところを発見した例がありますが、マッコウクジラも捕食目的ではなくただのいたずら的なちょっかいをかけただけだと思われます。また、ダルマザメに噛み付かれたと思われる丸い傷跡も確認されたことがあります。

メガマウスは生態がまだ解明されていない

メガマウスザメの発見例

メガマウスザメは1976年にハワイ沖で初めて発見されました。日本では1984年に漂流した死骸が上がったのが初めて。それ以降世界で合計50件程度の発見例があります。

深海性のサメであるために死骸として発見されることが多く、生きていてもすぐに弱ってしまうことから
生きた状態で水族館に引き渡されたことはありません。2011年に三重県で捕獲できたときは水族館に引き渡す段取りができていましたが、しかしこのサメは夜間の内に取り囲んでいた網を乗り越えて逃走。世界初のメガマウスザメの展示には至りませんでした。

打ち上げられたメガマウスの写真
↑メガマウスザメは肉質が非常に柔らかいため、陸上に上げるとその自重で簡単に形が潰れてしまいます

国内のメガマウスザメの標本展示

前述のとおり、生きたメガマウスザメを展示している水族館は存在しませんが、その生体標本を展示している場所はいくつかあります。代表的なのは京急油壺マリンパークやマリンワールド海の中道、美ら海水族館、東海大学海洋科学博物館など。

①神奈川県 京急油壺マリンパーク

京急油壺マリンパークではメガマウスザメの剥製標本を展示しています。ここはこの標本をウリにしているところもあって、ホールの中央に思いっきり目立つように展示しています。2006年に湯河原で捕獲された5.7mのメスの個体から作られています。
京急油壺のメガマウス

②福岡県 海の中道マリンワールド

海の中道マリンワールドでは生体のホルマリン漬けを展示。1994年に東区和白浜の海岸に漂着した4.7mのメスの死骸を元にして作られています。これが日本で初めてのメガマウス標本展示になりました。
海の中道マリンワールドのメガマウス

③沖縄県 美ら海水族館

美ら海水族館ではメガマウスザメの液浸標本を展示しています。2007年に茨城で水揚げされた3.6mのメスを解剖の後に標本化したものです。裏側からは内臓などの構造がわかるようになっています。
沖縄県美ら海のメガマウス

④静岡県 東海大海洋科学博物館

メガマウスザメの剥製としては世界初の展示になりました。
2003年に駿河湾で水揚げされた4.6mのオス。解剖の際に採取した脳・心臓・胃と内容物・腸・鰓・歯などを一緒に展示しています。
東海大海洋科学博物館のメガマウス

⑤三重県 鳥羽水族館

メガマウスザメの剥製標本を展示しています。2005年に三重県度会郡紀勢町錦沖で水揚げされた5.2mのメスの個体です。解剖の際に採取した脳・心臓・胃と内容物・腸・鰓・歯などを一緒に展示しています。
三重県鳥羽水族館のメガマウス

 
 
生きているメガマウスザメの映像:

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